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07【生命多き氷の世界】【 廻帰する忘失の郷】(執筆途中)


――――やり直しなんて、都合のいいものはない。

この過ちは取り返せない。


セト「この第二世界……神々のゲーム盤の王として

お前は本来以上の力を振るうことが出来る。

だが、もしお前が今の姿のままで有りたいのなら……力に溺れるな」

瑠璃「どうして? 私は式神の瑠璃。

式神はご主人様お役に立ち、成果をだすのが存在意義です。

瑠璃の姿がどうであろうと、求められた仕事をこなせるのなら関係ないでしょう?

ふふふ、もっと、もーっと、もーっっと頑張って、力を貯めて、蓄えて……

ご主人様のために、ぜーんぶ凍らせちゃいます!」

??「早速仕事を思いついた! 星を2つ用意して異常巻きアンモナイトを先に作れたほうが勝ちね。

瑠璃の使用ははそれぞれ3回まで、うち1回は完成したアンモナイトの保管提出用。

それ以外はまー適当に? カンブリア爆発でもなんでもどうぞ」

瑠璃「おうおぅスノーボールアースですか? いいですね、瑠璃、がんばります!」

セト「……警告はしたぞ」



理解の外にはみ出した異形を人類は怪物と認識する。

少女の姿を取るそれを、幻想郷では妖怪と呼ぶ。

ならば、今は少女の形で無くなった彼女を――――

人々は何と呼ぶのだろう。



【第二層:生命多き氷の世界】


医務室でお休みしながら、鳶子ちゃんのセクハラを躱していたら

白菊さんがやってきて「おや、元気そうですね?」と言った。

そうだ、【私はこの世界を旅するために、白菊さんにガイドをお願いしていた】

体調不良も全然ないし、大丈夫!


白菊「では、改めて。

第二世界は全ての生命が氷の中で永遠に保存されるアカシックレコード。

ガイドはこの私、白菊ちゃんにお任せください!」

のなめ「よろしくおねがいしまーす! ……え、えっと、

その、気になっていることがあって……氷漬けにされてるってことは……」

白菊「この世界の住民と会話することは残念ながら不可能です。

ですが、死んでいるわけではありませんので安心してくださいね」

鳶子「コールドスリープって知ってるかい?

この第二世界の王の力によって、完全な冷凍生存が可能になっている。

彼らは眠っているだけだ。よりよい、素晴らしい未来を夢見ながらね」

白菊「下層の世界とはかなり在り方が異なりますから、

のなめさんが困惑するのも無理はありません。

動物園。あるいは歴史博物館。美術館。

国というよりはそれに近いでしょう。我々はこの世界の住民ではなく、

世界を上から俯瞰して楽しむ神の視点に立っている……と言えます

のなめ「なんか、悪趣味だね……?」

白菊「彼らを娯楽として消費するアトラクション。その性質は否定できませんね」

鳶子「のなめくん。君には、ぜひこの世界を見て欲しい。

そして、君という人間が何を思うのか? 

君の旅路に、この世界の在り方は何かを与えるはずだ」

白菊「さあ、最初の銀河へ向かいましょう! 

そこで展示されているのは……【生命が住める星とは、何か?】

【生命が産まれる星とは何か?】

人類が悩む一つの難題に対する、神の解答が展示されています。

私は、この凍結銀河をこう名付けました。

【第一凍結銀河:プリンキピア】!」

のなめ「お、おおぉぉ……? 最初からすけーるがでかいよ!?」

鳶子「この程度で驚いてちゃ心臓が持たないぜ? この世界はマジでおっきいからね」

白菊「わくわくするでしょ?」

のなめ「う、うん! わくわくしてるよ!? しないわけないよ!?」

白菊「でしょー?」


医務室の外にでると、沢山の扉がある部屋に案内された。

なんでも、この扉をくぐるだけで星間ワープができるらしい!?

なにそれ、すごい!

……と、思っていたのだけど……あれ、扉が固くて開かないよ?


白菊「宇宙船での移動も良いものですが、今回は展示物を見ることを優先しましょう。

得敏ーちょっと、通行許可してくださーい」


白菊さんが誰かに呼びかけると、

部屋の片隅でいそいそと文字を書いていた女の子が顔をあげて、

すごく不機嫌そうな顔して答える。


得敏「白菊、お前また勝手に部外者を連れ込んでいるのか……

清姫殿に許可はとったのか? バレて怒られるのは私なのだが」

白菊「とってませんけど? 私の名付けの成果を広めたいっ! 

私の行動原理はそれだけ! それに見せたって減るもんじゃないでしょう?」

得敏「観測しただけで結果が変動するものもあるんだが……

まあいい。猫箱の中以外なら好きに見ればいいさ。

客人よ、白菊はトラブルメーカーなので平和な旅は諦めるといい」

のなめ「し、白菊さーん……?偉い人に許可とってなかったのー?」

白菊「だってガイドして欲しいって言われていっぱい報酬用意されたらうんって言うしかないじゃないですかぁ」

鳶子「ふふふ、トラブルけっこう! 平和な旅なんてつまんないもんね!」

のなめ「うぅ、私はもうトラブルとか嫌だよう……」

得敏「はぁ……白菊を紹介するんじゃなかった。いまからでもやり直したい……

そして白菊の推薦をなかったことにしたい……」

白菊「残念♪ 起きてしまった過去はもう変えられないのでーす!

たとえ得敏でも、清姫さんでも……神々ですらも。ね」


白菊さんが不敵な笑みを浮かべながら、私の手をとって歩みを進める。

うーん、許可取らないとだめなんじゃないかな?とおもって得敏さんのほうをみるけど、

彼女はまた机に向かってなにか難しい顔をしながらあーでもない、こーでもないと文字を書いていた。

いいのかなぁ、という申し訳ない気持ちと……それよりも、私には……

スケールの大きい宇宙の旅に、とってもわくわくしていた!


◇第一凍結銀河:プリンキピア


白菊さんに案内されたのは、すっごーく大きな天体望遠鏡がある建物。

あれ?実際にその星には行けないのかな?って思ってると、

鳶子「こういうのには順序が大切なのさ。何もわからず知らない場所に放り出されるより、

周囲に在るものがどのように作られたのか、その背景を知るだけで感動は何千倍にだってなるんだぜ?」

って、言われた。


白菊「我々が住む地球。その地表で現在最も栄えているのは人間という考える葦。

さて、各地の宗教でも世界の創造フェイズが記されているように……

古今東西の人類がもつ難題の一つが「生命はどのように誕生したのか?」です。

幻想郷の外の人類は神を忘れ、科学を信仰しましたが……

それでも、この難題の正確な答えを出すことはできていません。

ちなみに、のなめさんはどのように生命が誕生したと考えていますか?」

のなめ「えっ? えーと、んーと……すごい神さまがえいってやったのかな?」

鳶子「まあそんなもんだよねー。

キミの考え方はインテリジェント・デザイン。

高度な知性体による世界創造論ってやつだ」

のなめ「いんてりでん……??? わかんないけど、神さまってそのへんに居るし

世界作った神さまもいるならさ、その神さまが作ったんだよ!」

白菊「幻想郷の民としてはそれで十分です。ですが、科学を信仰する外の人類にとっては?

無知という隙間の神を否定し、

世界に毅然として存在する理(ルール)を言語化しようとする人類には……

もっと具体的に、どういう感じにツクられているのか!?

それを理解できないかぎり、外の人類は神離れができないのです」

のなめ「お、おぉぅぅ……? 神さまを信じない人たちって大変だね……?」

白菊「ええ。ですが、この第二世界の神は、彼らを否定しなかった。

むしろ、彼らの組み立てた仮設全てを【実現】させた。

というわけで、この氷漬けになった星々がその記録であり証左。

順番に見ていきましょう! 

まずは世界一有名な聖書にある創世神話を実現させたこちらから。

天と地、太陽と月、星々に魚や鳥などを初めからその形で作り上げ、

6日目に神と似た形の人類を作った……ということが6つの星から読み取れます」

のなめ「すごい有名な創世神話だ! それが実物でここにあるの……!?」

鳶子「記録映像でもあればより臨場感増すのだがね。8ミリカメラとかない?

あ、ない。そう……」

白菊「私も創造現場を見てみたかったですわー!

作業記録をまめに残す方のようで、

こうして凍結保存されたコピーは多いのですけれどね~」

のなめ「どんなひとがこんなすごいこと出来るんだろう……?

神さまって、すごいんだなぁ……

ねえ、もうちょっと近くに行って見ることはできないの?

遠くから望遠鏡で見るだけじゃ味気ないよ!」

白菊「もちろんそれぞれの星に降り立って案内することもできますよ!

まー全部観光するには時間が足りないので……

6日目の星の欧州付近に絞って観光しましょうか」

のなめ「わー!たのしみ、楽しみだよ! ねえ、マ……」

鳶子「僕はキミのママじゃないけど、まあ楽しみだね」

のなめ「……うぅ、ママ……は、はやくママに会いたいよぉ……

なんか、心が変なの。むずむずっていうか、そわそわしてるの。

……大丈夫かな? ママ、泣いてないかな? すごく、繊細な人だから、

……だ、だからね? 私が側にいないとって、思うの。変だよね、親子なのに……逆だよね……」

白菊「のなめさんのお母様とは面識がありますが……そんなに弱い方ではありませんよ。

たった一人で第二世界に殴り込みに来たのは後にも先にも無名異さんだけですもの」

のなめ「……え、えぇ……!? ど、どういうことなの!?

ママが殴り込みに来た!? え、乱々ねーちゃんみたいなレジスタンス的な!?

ママも怒らせたら怖くてやばい人だったの!?」

鳶子「ほうほう。僕も初耳だねぇ、詳しく聞かせてもらっても?」

白菊「観光ついでに語るとしましょうか。

……あれは得敏に呼ばれて、この世界来てすぐの頃……」



清姫「……どう? 新種の生命体はいた?

私の予想では居ないはずだ」

白菊「ええ。現時点で人類の理解の範疇を超える未確認生命体は存在しません。

最も凍結銀河が多すぎて……これから見つからないとも限りませんわ」

清姫「幻想郷に君がいてよかった。

巻き込まれた側としては溜まったもんじゃないかもだけど」

白菊「ふふ。趣味と実益を兼ねられて私も幸運ですわ。

幻想郷の重鎮の方々とのコネも作れて……ええ、とっても感謝していますとも!」

得敏「清姫殿。引き続き白菊への監視は緩めないことをおすすめします。

こいつは成り上がりのためなら手段は選ばない出世欲の権化ですので」

清姫「なんだぁうちと同類じゃん? それにきよひーとしらきーはヘビ友じゃん!」

白菊「ねー!」

得敏「はぁ……私がちゃんとしないとダメだ。ちゃんと監視しよう。うん」

清姫「えるびんこそ、猫箱の管理ほんと頼むよ? 

あれが誰かに開けられた瞬間我々はゲームオーバーだ。

しらきーの監視はきよひーに任せてもろて。得意分野で役割分担しようゼ☆」

白菊「そうですよ! あんまり目をそらしてると……

猫箱、私が開けちゃうゾ♡」

得敏「……白菊は猫箱の中身を知っているわけもないし普段の口八町だが……

箱の秘匿性を保つためならば手段は選ばない所存です。

場合によっては瑠璃殿の力を借りるやもしれません」

清姫「いいよー。適度にガス抜きさせてあげてねん」

白菊「では、休憩次第通常業務に戻らせていただきますわ。

……あら、地震かな?」

清姫「……あー、来客っぽいね? 下の階層からの旅人かな―。

とりまうちに任せて、二人は任務を――――――

事務所の床ぜんぶぶち抜いてこっちめがけて襲撃してきてる。敵襲だー!」

無名異「会話は不要、押し通るのみッ!」


戦闘!無名異(回想、耐久戦)

 ■PTはきよひー・しらきー・えるびん

 ■ターン経過でイベント進行


無名異「くっ手強い……だが、お前たちも私の行く手を阻むのだろう、そうだろう。

全員動くな! 私は地球破壊爆弾を持っている。

ロストしたくなければおとなしく投降しろ!」

白菊「は、はあ!? そんなの信じられるわけ」

無名異「私がセト神と懇意であると言ったら? というか、セトは何処に居るのだ。

この世界にも居ないなら第一階層だな。よし、おとなしく案内を」

清姫「何人たりとも第一階層へ立ち入らせるな、とセト神から命じられていてね。

あたしゃ嘘つきが大嫌いなんで、それを違えるつもりは毛頭ない」

無名異「そうか。では爆破しよう。ぽちっとn」

得敏「わ――――待って待って待って待ってまだ書きかけの論文のバックアップとってないからあと10秒だけ待って!!!!!」

清姫「そしてお前は嘘つきだ。

あの神が愛憎牢獄を崩壊させるアイテムを他者にわたすことはない。絶対にね」

無名異「……」

白菊「というか数の差で不利なのは貴方ですよ。

おとなしく投降すれば命までは奪わな」

無名異「10秒たったな。ぽち


(遠くで爆発音がした)


清姫「……うっそーーーー……マージでー……??」

白菊「うわ……無人の星壊れちゃった……南無……」

得敏「ふう、バックアップとれた。さて、戦力的にはあちらのほうが上のようだが……」

無名異「これで、私とセトの仲は証明できたな。そこな蛇の御仁よ。

私を第一階層へ通さないのは良い。ただ、私はセトに一つだけ聞きたいことがあり

幻想郷より歩いて参った。

……察するに、貴方は今もセトと連絡を取る手段や機会があるのではないか?

ならば話は早い。この手紙の内容をセトに伝えて返答をなるはやでお願いします

清姫「それ先に言ってくれれば喜んでやったんだけど!?


◇きよひー伝書鳩中◇


清姫「返答は【勝手にしろ】だってさ。

手紙の内容は自己ジャミングで見ないようにしてたけど一体何聞いたんよ」

無名異「いやその。私はセトの娘を養育しているのだが

そういえば名前聞いてなかったなと思って……聞きに行きたかったのだ」

白菊「そんな理由で地球破壊爆弾を!?」

得敏「最初からそう言ってくれればこの場にいる我々は普通に協力したぞ……」

無名異「だ、だって下の3つの世界の門番がうざったくてつい……

しかし困った。私が名前を考えるのか……責任が重大だ」

清姫「――――娘……ねえ。丁度いい、そこの白菊は名付けのスペシャリストだ。

命名相談にのってあげなよしらきー」

白菊「え? そうですね。いやめちゃめちゃビッグなコネを作るチャーンス!

いいでしょう、この白菊ちゃんがひと肌もふた肌も脱いじゃいます!」

無名異「そうか。ではお願いしよう……」

得敏「……何か厄介なことにならなければ良いのだが……」




白菊「とまぁ、こんな感じ無名異さんと仲良くのなめちゃんの名前を考えさせて頂いたわけです」

のなめ「ほ、ほえぇ……! 白菊さんが、私の……名付け親だったなんて……!」

白菊「そうなんですよー! 

まあ私、この世界での仕事が忙しくて貴方の成長は間近で見られませんでしたが……

ふふ、巡り巡っていつか私の元へたどり着いてくれると信じていましたとも」

のなめ「白菊さん……! なんだかすっごい運命を感じて胸がドキドキだよ!」

鳶子(いい話みたいになってるけど罪もない星が一個消し飛んでる

白菊「だからね。貴方が立派に成長して、私の目の前に現れたということは……

無名異さんもまた、立派な大人として役割を果たせた、っていうことなんです。

思い込みはちょっと激しい方ですけれど……

強い心の芯を持っている、ということでもあります。

……どうです? ちょっとは安心できましたか?」

のなめ「う、うん。白菊さんのお話聞いてたら、安心したよ!

ありがとうございます! それと、素敵な名前を私にくれてありがとう!」

白菊「やだーうれしー! もっと褒めて褒めて♡ リスペクトして♡」

鳶子「ところで話変わるけど猫箱って中身何なのさ。怪盗の血が騒ぐ!」

白菊「え? 知りませんし教えてくれないし興味ないですね。

単独行動で覗きにいくのはやめといたほうがいいですよ。

本気の得敏を相手どるのは至難の業ですから」

のなめ「勝手に行動して翌朝無残な姿で見つからないでね……?」

鳶子「しないよ。わざわざ虎の尾を踏みに行くような酔狂者ではない。ただ……」


鳶子(僕も知らない最後のブラックボックス領域、か。

慎重に情報を集めてから、開けるかどうか決めよう。

やり直し(リテイク)なんて、遠い昔に出来なくなったのだから……)



◇【 廻転する忘失の郷】 1


泣きわめく無名異ちゃんをなんとか宥めて、私はのなめちゃんの身体を氷像牢獄に保存した。

……本当は助からない、手遅れだってわかっていたけれど、

……通りがかった桃姫達の手を借りて、どうにか、見てくれだけは保つことができた。

……まさか、紫達との会合の直後に何者かに襲撃されて、致命傷を追うだなんて……

これから、どうすればいいんだろう。また、涙が止まらなくなって、胸が苦しくて、

頭がズキズキ痛む。

私の無力さにはほとほと呆れてしまう。

上人様もひかり子も、みんな私に大丈夫って言うけれど……

……本当に、これからどうすればいいんだろう……


桃姫「通りがかったのが私達なのが幸運だね。

ばっちりコールドスリープ処理、させていただきました。

私は身を持って体験して証明したから、効果はお墨付きだよん

むしろ死ねるなら死に方教えてくれって感じ? うんうん」

黒鳥「ありがとう、まだ本調子じゃないから、私だけじゃ氷像牢獄を作るの無理だった。

とても、感謝してます……」

桃姫「いいの。

第三階層ではみんなに迷惑かけちゃったから名誉挽回しとかないとね!」


言葉だけは前向きに、そうするだけで心も明るくなるって上人様が言ってくれた。

だから、これは希望を語るだけの、薄っぺらい嘘の会話。

……奥の部屋からミントがやってきた。

それは、これからのお話を一番聞いてほしくない無名異ちゃんが、

ようやく落ち着いてくれたということで……

和気あいあいとした空気はすぐに切り替わって、桃姫の表情もすぐに険しくなった。

ミント「……さあ、建設的な話をしましょう?」

垂神「――――正直な所、

なぜのなめ殿が【現在も生命活動を維持しているのか不明】です

肉体に宿るべき魂はすでに失われており、肉体を維持する機構も著しく損壊している

桃姫「私達は医者じゃないから医学的なことはわからない。

けれど魂がないのに肉体が生きてるって、どういうことかわかる?

ゾンビとかミイラ、リビングデッド。

魂を戻さない限り、復活しても【これは无名のなめではない何か】となるわ。

――――心当たりは?」

黒鳥「魂については、上の階層へ向かうようになっているはず……

基本的に、迷宮内の生命体は階層を移りながら循環してるの。

異なる階層のそれぞれがあの世でありこの世になっている……そういう構造をしてる。

……そして、今氷像牢獄の中に居るのなめちゃんを目覚めさせるわけには行かない。

もし、愛憎牢獄の神が目覚めるきっかけになるのなら、それは防がなければいけない。

氷を溶かすことも、できればしたくない。リスクが大きすぎるの」

ミント「……手詰まり、か。昨日の今日で……

でも唯一の幸運、この場に私達が集っていたこと。

私達が居なければ終末時計はとっくに12時を過ぎていたわ。

第三世界運営の経験が生きたわね」

垂神「ですな。ひとまず、本日は休息に専念いたしましょう。

各々の精神の疲労が見えております故」

桃姫「結界のメンテは私がやっとくから、黒鳥ちゃんも休んでね。

貴方だって病み上がりで本調子じゃないんだから。

……せっかく元気になったんだから……明日も笑顔で、ね?」

黒鳥「……ごめんね、役にたてなくって」

ミント「十分頑張ってる。だから今日は寝ましょ?」

黒鳥「うん。おやすみ……」



桃姫「……さっきから、聞いていたんでしょう?」

無名異「……ああ」

桃姫「今のが全て隠しごともなにもない現実よ。

貴方にはまだ聞いてほしくなかった。きっととても傷ついて、傷ついて――――

心が、完全に壊れてしまったら……妖怪はそこでおわりなの。

……貴方まで居なくなって、みんなを悲しませないで」

無名異「――――もう、大丈夫だ。

私は……いつまでも下を向いて、世界を呪うだけの子供では、ない。

辛くても苦しくても、前を向いて世界と向き合うと決めたんだ。

……それに、各々が最善を尽くしてくれているのに……

私だけ、立ち止まるわけには行かない」

桃姫「……強いんだね。いいなぁ、私ずーっと一人ぼっちで子供のままだったからさ、

大人になれた気もしないし、なれるのかもわかんない」

無名異「子供と大人の境界……私は、そのひとの行動の芯が

やりたいことであるのか、成すべきことであるのか。その程度の違いしか無いように思う。

私は貴方のように、成すべきことを与えられたことは無いから……

貴方のほうが、よほど素敵な大人に見えるよ」

桃姫「……えへへ、褒められるなんて久しぶりだぁ。私達、結構気が合うね!

……だから、例えば、なんだけど……今から仇討ちに行くってんなら絶対に通さない」

無名異「――――いや、私は」

桃姫「上の世界にこっそり行くのも、だめ。

これは頭数を揃えたほうが勝率が上がるから。――今日だけはゆっくり休んでほしいな」

無名異「――――あ、あの。お手洗いに、行きたいだけなのだ……」

桃姫「……うそぉ……引き止めてごめんね……」

無名異「う、うん。私も普段の無口ミステリアス薄幸美少女アピールのしすぎを反省している……」

桃姫(……この子、垂神と同じで蓋を開けたらとんでもなく愉快な子なのね……

垂神とも仲良くなれそう。いや仲良くなるどころか新しい変形合体しそう……

……暴走してさらに歯止めが効かなくなりそうだし紹介するのは今はやめとこ!)



◇第二凍結銀河:アヴァロン

白菊「さて、第一凍結銀河が各地の神話の創世記の再現だとすれば

こちらは進化論に基づく生命の歴史の再現と言えるでしょう。

人類が誕生するよりもはるか昔に栄華を極めたヴェンド生物界……

すなわち、骨無き軟体動物が霊長の座に立つ第二凍結銀河:アヴァロン!」

鳶子「アヴァロン……アーサー王伝説とはどういう関係が?」

白菊「アヴァロンの語源をご存知でしょうか。ケルト語のAbalに由来するのですが、

それはかの地が林檎のなる島であったことからそう名付けられています。

そして、聖書の第二創世記はもちろんご存知ですよね?」

のなめ「だいにそうせいき……?って?」

白菊「おかしいとは思いませんか。神は6日で世界を創造し、6日目に神のかたちに似せた男と女を作りだした。

これが聖書の最初から、2章4節までの物語です。ですが……」

鳶子「それ以降は、主なる神が土の塵から作った男をエデンに置き、

その男が肋骨から女を作り出し……と続くね。なるほど、確かにずれている」

白菊「口伝で語り継がれる内に異なる創世記が融合するというのも、よくあることです。

楽園になる禁断の知恵の果実。これはよく、林檎に例えられるでしょう?

アーサー王伝説のアヴァロンとはエデンのように、神の寵愛を受けた楽園という意味を持ち合わせているのです。

そして……この第二凍結銀河は、神の寵愛なくしては成立しません。

どうでしょうか、ご理解いただけました?」

のなめ「ちんぷんかんぷんれす……」

鳶子「なるほどね、皮肉が効いていてとてもいい。

増えるために骨抜きになった脆弱なぷにぷに肉塊達の楽園ってことだ」

のなめ「ちょっとお腹ぷにぷに触るのやめてよ! 気にしてるんだから!」

白菊「そんな穿った見方しないでくださいよぉ……

すでに絶滅して久しい彼らが生きているってだけでとんでもない価値があるのですよ?

こんなの興奮しないほうが間違っていますわ♡ビバ創造神!」

のなめ「絶滅……それ、悲しいことだよって、昔ほろーちゃんに教えられたよ。

じゃあ、ここに居る子達は……他の世界でも、外の世界でも、会えないんだね」

白菊「ええ。さあ、ここも沢山の星がありますから……どれか一つだけ探検しましょう!

そうですねぇ、彼らを人間たちはエディアカラ生物群と呼ぶこともありますので…

オーストラリア近辺に降りてみますか。」



のなめ「うわああああああああ!!!でっかいうにょうにょだぁあっぁぁぁ!!!」

白菊「私も初めて実物を見ますわ、ディッキンソニア」

鳶子「化石で見ると神秘的なのにだいぶ……その……気持ち悪いね!」

のなめ「うえっぇぇ、生理的になんか無理ぃ! 背筋がぞわわわしてひゅえぇ」

白菊「なんでー、こんなにかわいいのに!」

のなめ「うぅぅぅ、私、すきじゃないよう……ひぃぃぃ、凍っててよかったぁ」

鳶子「……これを再現した神は、一体何を考えていたんだろうね。

創世記を作り出すほどの権能をもっているにも関わらず、外の歴史の焼き増し?

理解できないな」

のなめ「う、うん???」

白菊「趣味とか、暇つぶしじゃないですかねぇ

うちの姫様も退屈しのぎに青いバラ量産したりしていましたし」

鳶子「白菊、たとえばこの第二世界に、人智を超える生命体は居ないのか?

生死を超越した新人類、宇宙から飛来する珪素生命体。そういったものは……

【居ないのだろう?】

白菊「――――それ、清姫さんにも昔聞かれましたわね。

その時から長い年月が経って、私はこの世界の全てを命名分類し終えたけれど……

【ただの一つも、未確認生命体は存在しませんでした】」

のなめ「それって、どういうこと? ごめん、頭悪いから、説明を……」

鳶子「創造神は創造したものが存在することを己の信仰とする。

なのになぜ、愛憎牢獄の神は外の人間達から信仰を得ようとしている?

あまつさえ、その能力すらも外から取り入れてオリジナリティの欠片もない。

矛盾しているんだ。在り方がね」

のなめ「ぜんぜんわかんない!」

白菊「……ええっと、のなめさんにわかりやすく説明すると……

お花の神様を信仰するときって、キレイなお花が咲いているときですよね?」

のなめ「えっと、うん。そうかな?

 できれば【私がやりました】って言ってくれるともっと信仰するよ!」

白菊「では、世界を創造するのが売りの創造神は、

世界を創造したということがアイデンティティになりますね。

さて、想像された世界の外に神を信仰する人間は……本来なら居ないはずですよね?

だって、人間ってこれから作るのに。創造できるのに……信仰が必要っておかしい、

鳶子さんは言っているのですよ」

のなめ「うーん、うん、なんとなくわかったかも。でも、実際には愛憎牢獄の外に人間はいるんでしょ?

だったら、その人達に認めてほしいんじゃないかな……?」

白菊「ま、そうですよねぇ。【認めて欲しい、忘れられたくない】

こんなの普遍的なテーマですよ、人であろうと神であろうと。私だってそうです」

鳶子「……君の考えは貴重だ。一応、心に留めておこう」

のなめ「鳶子ちゃんは一匹狼気質だからね、繊細な乙女心はわかんないのかも。

……いやかってに女の子だと思ってるけど……どんな、ひとだったんだろう……」

鳶子「ほんと、どんな神なんだろうね。僕には想像もつかないよ」


◇【 廻転する忘失の郷】 2


朝がきた。

昨日と同じように朝日が登ることに感謝をしたくても、

明日は同じように夜が開けてくれるのか、不安になる。











日本の神と外国の神は性質が違う! ヨシ!











■観光する場所の特色

『絶滅と世代交代の歴史

この世界ではエディアカラ生物群のみが繁栄を極めている

=大量絶滅、カンブリア爆発が発生していない

うねうね、にょろにょろ軟体動物の世界』


■ストーリー上で進行させたい話

アヴァロン=リンゴの島=創世記の失楽園と紐付けて

神の庇護下から追放される人類=神離れについての話

愛憎牢獄の神は再び人類を楽園に導こうとしている

 →それはなぜかという問題提起

 →愛憎牢獄の神の論理エラー、矛盾点

  強大な創造神として存在を保つために信仰されなくてはならないという脆さ

  神聖四文字ならば信仰されずとも初めから全能の神であるはずだ

  もともと存在した一柱の神に対して創造神:地母神性を後付した結果のエラー

のなめちゃんがなんか不思議な力で回想シーンに突入する感じでいこう





現在の分類3ドメイン説(分子系統分類)


細菌(大腸菌、枯草菌、乳酸菌、藍色細菌など)

古細菌(メタン菌、高度好塩菌、超好熱菌など)

真核生物(植物、動物、真菌、アメーバ、ゾウリムシなど)


リンネが提唱したのは


動物界

植物界









◇/廻転する忘却の郷


??「なぜってそりゃ、あんたが神サマにそう願ったじゃあないですか。

【何度でも思い出してみせる】……ってね?

そして俺の忠告を聞くと忘れるために死を選び、また思い出して俺のお小言を聞く。

このやり取り何回目だ? 正直数えるのも飽きた。

残念だが俺に助けを求めないでくれよ? 俺は主人を失ったとことん無力な悪魔様。

憐憫ぐらいはしてやるさ」


私は迷わず喉にナイフを突き立てた。

赤い血しぶきが鮮やかに庭園を染め上げる。

薄れゆく自我は心地よく、この感覚が永遠ならばよいのに、とさえ思ってしまう。


記憶は瓦礫となりて塵となりて、皆々全てが故となる。

――――たった一日で思い出すまでの、無限に続く逃避行。


/


紫「……あら、どうしたの? 随分調子が悪そうに見えるけれど。」

皆故「……え? あ、はい。すこし、体調が優れなくて……

……すみません八雲様。今日の会議はとても重要なのは承知していますが、

多分私、このままだとお役に立つことができません」

紫「そうね。幻想郷の運営に貴方はいなくてはならない存在。今日は休んで頂戴。

頭脳労働は私の役目だもの」

皆故「……ごめんなさい。それでは失礼させていただきます」

紫「ええ。明日からは元気な貴方に会えることを祈っていますわ」


とても、とても重要な会議。ええと、……何か、幻想郷にとってたいせつなことを

話し合う会議……の、はず、なのだけれど。

ああ、ダメ! 最近何もかも忘れっぽい!

せっかく、私のアイデンティティを取り戻したっていうのに…………

ほんとに、ほんとうに……最近は些細なことを忘れている、気がする。


けれど、私の頭脳は忘れているけれど。身体は覚えているようで……

気がついたら人里をふらふら歩いていた。もう、安めって言われたのになんて不良なの!

……ま、まあ、来てしまったものはしょうがない。

おいしい食べ物でも買ってから、家でゆっくり過ごそうかな?


幽香「あら、皆故? 今日はたいせつな会議だからオフじゃなかった?」

皆故「ゆ、幽香さん! それがですね、その、私……あ、あれ? 

なんで、涙が出てくるの?

どうして? 私、泣いて……」

幽香「きっと働き詰めで、貴方疲れているのよ。どう? そこの甘味屋、今日も空いてるわ。

きっと明日も明後日も空いてるわ。……施しだと思って、そこの店で腰を落ち着けて、

……美味しいパフェを食べたら、きっと辛い気持ちもなくなる」

皆故「わ、私、最近変なんです。幽香さんにあうと涙が出てくるし、

しょっちゅう忘れ物するし、なのに、なのに、どうしてこんなに嬉しいの?

どうして、嬉しいのに泣いてるんだろう? 

きっと私、壊れちゃったんだ。どうして、どうして、どうして――――」

幽香「パフェ食べて、それでも辛かったら……そうだ。

私の庭園に来てみない? 実はね、太陽の畑とは違う場所に別荘があるのだけれど……

そこ、まだ貴方に見せたことは無かったわね。きっと貴方も気に入ってくれると思う」

皆故「……幽香さんの、ガーデン……い、いいんですか?

私、もう、美味しいものじゃ満足できない不良ちゃんなんです。

なのに、そんな欲張りで贅沢で……夢みたいなこと」

幽香「貴方だから良いの。ううん、私の友達として認めた貴方だからこそ、来て欲しい。

親友の頼み、聞いてくださらない? 四季の神様?」

皆故「……は、はい。絶対行きます。絶対気に入ります。親友の頼みなら……!」















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