「ツーダウンよ。
次で試合を止めるから。いいわね??
『ボックス!』」
試合が再開すると、肩で息をするミキが拳を構えながら近づいてきた。
落ち着かなきゃいけないのはわかっている。
でも、込み上げる涙が止まらない。
「このラウンドで殴り倒す」
そう宣言するような気迫。
リングで対峙するこのボクサーが、
私の1番の親友が、心の底から憎い。
「シィ!」
互いが殺気のこもったパンチを打ち出す。
ミキのグローブが頬1センチを掠めた。
(お願い、当たって!)
祈るように放つ拳に、手応えはない。
次の手も、その次も。
「ガッ!」
死線を掻い潜る攻防の果てに、
ミキのグローブの先が私の顎を揺らす。
「あっ・・」
私が殴り負けるなんて、ありえない。
それもあのミキに負けるなんて。
グローブの隙間からミキの白いマウスピースが覗く。
流れを掴んだ彼女の、熱い筋肉が打ち出す青グローブがぐんぐんと大きくなって、、
私の視界を覆った。
「ぶえっ!」
強い衝撃と共に汗が激しく飛び散り、
のけぞるように、仰向けに倒れこんだ。
裸の背中に感じる煤汚れたマットの感触。
「スリーダウン!
テクニカルノックアウトよ。」
「よっしゃあっ!」
リベンジを果たした友人の歓声がかすかに耳に届く。
ぐったりと濡れた体に、会場の割れるような拍手が降り注ぐ。その向き先は私じゃない。
勝者と敗北者の無慈悲なコントラスト。
溢れる涙に、無力なグローブが天を仰いだ。
↓差分
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いつもご支援ありがとうございます。
投稿遅くなりすみませんでした、、
9月はなにわんGPにおいて、
たいじさんのアンソロに漫画を寄稿させていただきました!
貴重な機会を頂けたことに改めて感謝です。
ご支援者様でもし目を通していただけた方いらしたらとても嬉しいですね。
ありがとうございます!