□Extra stage/7th stars
決して動かぬ天球の星
/それでも地球は回っている
シャノン「彼女に盲目者(モグラ)の烙印を押すならば
そんな愚かな神の威光など不要です。
さあ、大天球結界(ネビュラスフィア)よ!
偽りなき真理の光を知らしめなさい!」
◇
霊夢「太陽がこんなに赤いわけないじゃん。
まるで子供の落書きみたいなパチモノよね」
??「太陽は赤かった」
セレスタ「わしはこの目でしかと観た。
故に、刮目せよ。あの星の終わりの姿…
この星をも飲み込まんとする、56億年後の太陽を」
霊夢「あんたがモグリ?
その頃には弥勒菩薩が現れて、衆生を救うんだって。
聖が言ってたわ~知らんけど」
セレスタ「ミスラもまた太陽の神である。慈悲によって衆生は救われる、か。
…けれどわしは救われない。
かの光がわしを拒むのだ。この忌々しき霊体を」
霊夢「助けてほしいなら最初から言ってくれればよかったのに。
悪霊退散、妖怪退治。慈悲深い巫女が貴方を成仏させてあげる」
セレスタ「またもわしの眼を奪おうというのか?
やはり宗教者はだめだな。真理を見ようとせず色眼鏡で星を観る。
太陽に烏? それは黒点だ。
太陽に宮殿? それは幻想だ。
光あれだと? それこそ後世の創作だ!
…そうして、勝手につけた色すらも人間は忘れ去る。
この覗き眼鏡で真理(げんじつ)を観よ」
霊夢「やっぱりアンタはモグラだわ。
太陽は白くて、太陽には三本足の烏が居る。太陽には日宮殿がある。
光あれと灯した神も居るのでしょう。うちは天照派だけどさ。
ここは幻想郷。人々が思い描いた輝かしい夢の跡地。
現実(げんそう)を観ようとしないのはアンタの方よ!
セレスタ「ならば今こそ知らしめる時。
有史(人の認識)が削ぎ落とした超現実(アンリアル)を!」
◇
霊夢「最後らへん、太陽が白かったよ。
やっぱり光は白くて清らかなの」
セレスタ「あれは白色矮星だ。そういう色にも、いずれなるのだ」
霊夢「じゃあ別に間違ってないじゃん。
そういう視野狭窄?頭でっかち?やめたほうがいいんじゃない」
セレスタ「…まあ、もういいか。
太陽の一生は見届けた故、わしに無念などない。
異教の聖女よ、現し世に不適格な者を滅しなさい」
霊夢「あーうん、そう思っていたんだけどね」
セレスタ「…?」
霊夢「どうせなら、瓶詰め悪霊のコレクションにしようかなって
大丈夫心配しないで。透明な瓶だから星もちゃんと観られるわよ」
セレスタ「そういう閉塞的なところはちょっと。
やっぱり無念はあった。わしはもっと自由に星を観たいぞ」
霊夢「現実見なよ。アンタが異変起こしたせいで森がどうなったと思ってんの?
スカプラリオを着ていれば免償されるとでも思った?
免罪符はもう無いのよね」
セレスタ「やはりわしは眼の前すら満足に観えていなかった。
今、眼の前に居るのは悪魔だ」
EXTRA STAGE CLEAR
◯星海の彷徨者(プラネテス)
セレスタ/Celestarr
種族:亡霊
能力:星を観測する程度の能力
ある男は今でこそ天文学の父と謳われている。
望遠鏡の開発、月面の観測、天の川の解明、そして地動説。
しかし彼は信仰していた宗教から弾圧され、外出を禁じられ、
星を観測する眼すらも、愛娘すらも失って無念の死を遂げた。
彼の残した激しい感情は一つの亡霊の形を作り出した。
それが彼女だ。
さて、そういう生まれの彼女は特に復讐なども考えず
ボケーッと星空を眺めて生きていた。
時が経ち、彼の代名詞とも言える格言が創作であると定義された際に
流されるように幻想入りしてからも、ずっと。
なぜなら亡霊の彼女では、生前に最も愛した星(太陽)を観ることが出来ないからだ。
そんな中、もうひとりの学者…奇しくも彼の理論を確立させた者、
シャノンが星空で彷徨う彼女を見つけ出した。
シャノンにはようやく自分の理解者を得られた!という喜びがあったが、それは露と消えた。
蓋を開けてみればうわ言のように、太陽が観たいと言うだけの壊れたレコードだったのだ。
それでも、シャノンは彼女を側に置いた。
彼女が情熱を取り戻すような、何かはないかと探し求めた。
そうして、出来たのが大きな大きな筒眼鏡、つまり天文台と
幻想郷を覆う大天球結界ネビュラスフィアだ。
神が光あれと灯した星など後付(にじそうさく)だ。
彼女が神を信仰しない盲目者であるとして、その身を焼こうとするのなら
そんな愚かな神の威光など不要だ。
自然の言葉(数式)で寸分違わず再現した、同程度の熱量の星さえあればいい。
かくして幻想郷から本物の太陽は奪われた。
途中、雨雲が覆い太陽観測を中断せざるを得なかったが
それも巫女が解決してしまった。
もう彼女を遮るものなどなにもない。
五蘊盛苦に静かに苛まれていた彼女に光明が差すのは、400年ぶりだ。
たとえそれが偽りの星であろうとも、彼女は最期まで星を見放さない。