しばりしばられ クリスマスSP 衣山友梨 編
Added 2022-12-25 10:45:31 +0000 UTCギチギチ…
ギチギチ…
クリスマス、聖なる夜。
そんな日に私(衣山友梨)は縛られていた。
「ん…」
自室のベッドの上で逆海老縛りを施されていた。
サンタさんを彷彿とさせる赤い麻縄で私はデコレーションされていた。
「えと…痛くないですか?」
優しく問いかけるのは私をギチギチに縛り上げた張本人。私の大好きな友達の一人、古町和奏ちゃんだ。
「大丈夫だよ〜和奏ちゃんは縛りが上手いね〜」
「友梨さんに縛りを褒められるととても嬉しいです」
和奏ちゃんは私の顔を覗き込むようにして微笑んでくれた。良い子だなぁ…。
「でも……」
不安そうな表情になって和奏ちゃんは続けた。
「本来守るべきお友達を縄で縛り上げるのは少々心苦しいです…」
「私が頼んだんだから気にしないでよ〜。和奏ちゃんに縛られて幸せだよ」
「…ありがとうございます。」
「それにしても和奏ちゃんの縛りのレベルは高いね〜、ちゃんと拘束されてるのに全然痛くないよ」
「それは優奏のおかげだと思います」
「優奏ちゃんの?」
和奏ちゃんは「うーん」と首を傾げながら応えた。
「どうしてなのか最近になって縄抜けの練習ばかりするようになったのです。優奏の練習になるようにと解きにくい縛りを勉強するようになりました。」
「ははーん、優奏ちゃんも理解るようになってきたんだねぇ」
薄々感じてはいたけど優奏ちゃんは“こちら側”に近づきつつあるなぁ。
「ん?どういうことですか?」
そっか、和奏ちゃんは鈍感さんだから気づいてないのかな。私がバラしちゃうと優奏ちゃんに悪いし…なによりこのままの方が面白そうだから黙っておこ。
「なんでもないよ。和奏ちゃんの縛りの技術に惚れ惚れしてただけだよ〜」
「えへへ、そう言われると嬉しいです」
可愛いなぁ…。
「ねぇねぇ、股縄もしてほしいなぁ」
「お任せください!」
そういうと和奏ちゃんは腰縄を巻いて股縄をギュッと締めた。
「ん……」
「大丈夫ですか?」
「うん、気持ちよくて声が出ただけだから」
「友梨さんは縛られるのが本当にお好きなんですね」
和奏ちゃんは縄を留めながら語りかけてきた。
「でも悪い人に無理やり縛られるのは好きじゃないよ。やっぱり大好きな人に縛られてるから気持ちよくなれてると思う」
「大好き……」
私と和奏ちゃんは見つめあって赤面した。そういえば一対一でこうやって話すのって初めてかも…。
「………」
「………。」
「そ、そうだ!友梨さんはこれから沙希さんのお兄様にお会いするんですよね?」
沈黙に耐えきれなくなった和奏ちゃんが話題を変えてきた。
「そうだよ〜。」
「お話では聞いていましたが、こうやって縛られている友梨さんを受け入れてくださるのですか?」
「うん!ありのままの私を受け入れてくれる大切な人なの」
「理解あるお方なのですね」
「今日はクリスマスだし、ベタだけど『プレゼントは私』みたいな?」
「なるほど!だからこその“緊縛”なのですね!」
「そう!自縛だと限界があるからね。私を縛ってくれて本当にありがとう!」
「いえいえ、喜んでいただけるならまたいつでも縛って差し上げますよ」
「わーい♪」
そういったところで和奏ちゃんは時間を確認して口を開いた。
「そろそろお約束の時間ですね。お二人の邪魔をするわけにはいかないのでお暇させていただきます」
「気を遣ってくれてありがとう。また今度お礼するね。」
「お気になさらずです!」
マフラーを巻いて立ち去ろうとする和奏ちゃんに私は尋ねた。
「和奏ちゃんはこれからデート?」
「残念ながら恋人はいないのです…」
「縄原市長とお出かけしないの?」
「な、なななな縄原さんと!?」
明らかに動揺している。可愛い…。
「わ、私は縄原さんの敵です!一緒にお出かけなんて………!」
「ふーん」
私は気づいていた。普段クナイを忍ばせている胸元に可愛くラッピングされたプレゼントが隠されていることを…。
「だ、第一…こんな女子高生と大人の女性が付き合うだなんて…」
「年齢とか性別は関係ないと思うけどな〜」
「でもですよ……それでも…私とあの人は敵同士で……」
そっか、和奏ちゃんなりにたくさん考えているんだね。それなのに私が答えに導くなんて野暮だよね。
「うん、ごめんね。和奏ちゃんの想いを大切にしてね。」
「はいです。」
そういうと和奏ちゃんは部屋の窓を開けて私の方を振り返った。
「では、私はこの辺で失礼します!」
「ばいばーい」
和奏ちゃんは目にも止まらぬ速さで外へと駆け出していった。
ガチャ……
和奏ちゃんが帰って数分もしないうちに部屋のドアが開いてお兄さんが来た。
「えっと…今日はクリスマス……。友梨サンタからのプレゼントは縛られた私でーす……みたいな、ははは…」
いざお兄さんを目の前にすると用意していた言葉を紡ぐことができなかった。
そんな私の様子を察したのかお兄さんは私の隣に腰を下ろして優しく私の頭を撫でた。
「ありがとう。」
お兄さんの笑顔をみて私はあったかい気持ちになった。
…とっても幸せ。
こうして友梨は最高のクリスマスを迎えた。