喧騒に包まれる奴隷市場。
興奮した群衆の視線が、今まさに見世物として晒された麗しき貴婦人へと注がれていた。
中央の石床に座らされているのは、天州浦くらら。
ライトブルーの髪は乱れ、細くしなやかな首元には、無遠慮に回された屈強な男の太い腕。
鍛え上げられたその腕が容赦なく締め上げられ、彼女の白磁の肌に赤い痕が浮かび上がる。
「ははっ、見てみろよ。この上品なお嬢様が、こうやって無様に絞め上げられてるぜ?」
奴隷商人がいやらしく嗤い、腕を組みながら楽しげに眺めている。
くららの白い喉が男の腕に埋まり、じわじわと絞め上げられていく。
「う……ぐっ……く、ぅ……!」
苦しげに眉を寄せ、細い指が床をかすかに引っかく。
だが、どれだけ苦しくとも、助けを乞うような真似はしない。
「おやおや、随分と強がるじゃねぇか? それとも、本当に声も出せねぇくらい苦しいのかぁ?」
奴隷商人が男に合図すると、締め付ける力がさらに増す。
「ぐっ……ぅ……っ……! か……はっ……!」
くららの首が軋む音が聞こえた。
唇がわずかに開き、か細い息が喉の奥から漏れる。
「クク……たまらねぇな。普段は気取った口調で偉そうにしてるお嬢様が、こうして俺たちの手で声にならねぇ悲鳴を漏らすなんてよ?」
奴隷商人は口元を歪め、わざとらしくくららの顔を覗き込んだ。
「ほら、もっと見せてやれよ? 苦しくて、涙のひとつでもこぼれるんじゃねぇのか?」
くららの青い瞳がじわりと滲む。
それを見て、男は嘲笑交じりに締め付ける腕の位置をずらした。
「……おやおや? そろそろお嬢様の自慢の気品も、消えてきたんじゃねぇのか?」
「お...ふざ……け、...ません……わ……っ……」
その言葉すら、もはや途切れ途切れ。
「か……は……っ……ぐ……く……ぁ……っ……!」
もがくたびに、くららの細い首が軋む。
顔色が青白く染まり、肩が微かに震えた。
「クック……いいねぇ、いい表情になってきたじゃねぇか。どこまで耐えられるか、たっぷり試してやるよ」
ぐぐぐっ……!
男の腕がさらに締まり、くららの首が完全に埋まる。
か細い指が虚空を掻くが、力はどんどん弱くなっていく。
「さぁ、お前ら! この誇り高き淑女を競りにかけるぞ! 誰が彼女を手に入れ、その気品を打ち砕くのか……楽しみだなぁ?」
歓声と嘲笑が入り混じる中、くららはなおも青い瞳を伏せなかった。
最後の誇りを手放すことだけは、決して許さない。

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