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なんだと思う?これね、瀬戸大将の苗。

◇前回のあらすじ◇

珠烏「…」

ひかり子「もう見ていられない…」

ちい「ダメでち、今はまだそっとしておくでちよ」

ひかり子「でも!」

乱々「大切な人を失った痛みは、時間しか解決してくれないんだよ。だから…」

ひかり子「だからって…」

紫鸞「ああして心の傷が少しでも慰められるなら、拙僧らは見守るだけぞい」

ひかり子「そうですけれど…」

珠烏「まだかなぁ…」

ひかり子「でも、やっぱりこんなのはおかしい…!」

珠烏「いつになったら生えてくるのかなぁ。瀬戸大将」

ひかり子「絶対に嘘を吹き込まれてるって、教えてあげないと!」


◇回想


セト「鳥公知ってるか?瀬戸大将は地面から生えてくるんだぞ、土で出来てるから」

珠烏「セトくんって何でも知ってるんだね~!」


◇回想終わり


珠烏「ふんふふんふ~ん、おはよー瀬戸大将!きょうもお水をあげるねー!」

ひかり子「今日も挨拶してる…」

珠烏「あっ、ひかり子ちゃんもおはよー!」

ひかり子「ヒィッ…お、おはよお…アアノアノアノドドどうして、地面にむかって挨拶を…?」

珠烏「この間、人里の本屋さんに行ったんだけどね!

 植物ってこうやって綺麗な言葉をかけてあげるとよく育つんだって~」

ひかり子「瀬戸大将は植物だった…?」

珠烏「瀬戸物って土から作られるじゃん?

 だから瀬戸大将は地面から生えてくるんだって―セトくんが言ってた!」

ひかり子「そ、ソウデスカ…」

珠烏「セトくんはエジプトに帰っちゃったけどさ…

 でも、こーやって瀬戸大将を育ててると、いつかセトくんっぽい瀬戸大将に会えるかもしれないしさあ…」

ひかり子「そ、そうかな…?」

珠烏「んーでも今日も芽が出てきてないなあ。桃栗三年柿八年って言うけど…10年ぐらいかかるのかも!?」

ひかり子「ど、どうでしょう…?」

珠烏「実がなる頃には、もう私おばあちゃんになってるかもしれないよねー!」

ひかり子「実がなるんですか…!?」

珠烏「美味しいらしいよ、そのせいで瀬戸大将は絶滅危惧種なんだって!」

ひかり子「あの人食べたんですか?!」

珠烏「私もちょっとだけ食べてみたいなーって」

ひかり子「だだめですよ妖怪レッドデータブックに載ってるんですよ!?」

珠烏「だから隠れてこそっと二人でわけあって食べようねー!」

ひかり子「は、はひぃ…!」


◇


乱々「…で、結局言えなかったんだ。勢いに呑まれて」

ひかり子「眼が…眼がガチで…珠烏さんの心の中では確かにそういう設定で世界が回っていて…」

紫鸞「なるほど。ひかり子の心の中の拙僧像並に濃厚だったため気迫に押されたと」

ひかり子「ンギュア…」

ちい「まあまあ、心が落ち込んでいるときは植物を育てると良いってよく言うでちよ。

 何も生えてこないでちけど、そのうち落ち着いていつもの珠烏に戻るでちって!」

乱々「あっこれ何か生えてきて取り返しがつかなくなるパターンだね」


◇


フラワーロックセトタイショウ「…」

ひかり子「…」

珠烏「おはよー!あっひかり子ちゃんもおはよー!」

ひかり子「…こ、コレは一体…」

珠烏「何だと思う?これね、瀬戸大将の苗」

ひかり子「ああああ…」

珠烏「今日もお水をあげるねー!」

フラワーロックセトタイショウ(踊り始める)

珠烏「こらこら、はしゃぐなってー」

ひかり子「いやあああ!!!!」


◇


乱々「それで、怖くなって帰ってきたと」

ひかり子「だ、だって…なんで?どうして?もうわけわかんないおうちかえりゅ…」

紫鸞「ふむ…おそらくは珠烏の純粋な思いが信仰となり、一種の神の形として成就したのやもしれんぞい」

ちい「妖怪化かもしれないでちね!妖怪ってそういうものでちから」

ひかり子「なんでもありかよ…もう収集つかないじゃんどうするのコレ」

乱々「まあまあ、神社の巫女ですら神様を祀ってすぐ飽きる世界だよ?

 珠烏もそのうち飽きて忘れちゃうって」

ひかり子「飽きないし忘れないパターンじゃないですかもうやだー!!!」


◇


珠烏「今日はね、ひかり子ちゃんとの約束を果たそうと思って」

ひかり子「こ、これは…」

珠烏「今朝採れたての瀬戸大将の実だよ!」

ひかり子「やっぱりかーそんな気はしてたんだよなー」

珠烏「味見してみたけど美味しかったよー!」

ひかり子「あの…フラワーロックさんのほうはいかがお過ごしですか…」

珠烏「今は二世帯住宅に住んでて、もうすぐお孫さんが生まれるところ」

ひかり子「??????????」

珠烏「ゆくゆくは瀬戸大将の村を作ろうと思って、今は10個の苗を育ててるよ」

ひかり子「?????????????」


◇


乱々「それで理解が追いつかずに逃げてきたと」

ひかり子「わかんない…わかんないよお…!」

紫鸞「ふむふむ、ここまでくるとどこまで行くか見届けてみたくなったぞい」

ちい「第二人里並の瀬戸大将コミュニティが出来る日も近いでちねえ!」

乱々「初手陶器だから次は畜産なんてどうかな?」

ひかり子「Civかよこれ!?」


◇

珠烏「よく来たね」

ひかり子「態度がめちゃめちゃ変わってる」

珠烏「そろそろ首都の人口が頭打ちになってきたから、第二都市を建設しようと思っていてね」

ひかり子「さ、さいですか…」

珠烏「思えば、過去の私は夢を見てばかりだった…けれど今は違う。

 思い描いた夢を実現する力が私にはある」

ひかり子「また得た力でなんか調子に乗り始めてる…退治されますよ」

珠烏「食品、嗜好品、それらの流通のすべてを私の国…瀬戸物千年王国が握っているのに?」

ひかり子「巫女って核弾頭みたいなものですからね、無理でしょ」

珠烏「ぐぬぬ…!急いで制覇勝利か宇宙勝利をしなくちゃ…!」

ひかり子「外交して…穏健に済ませて…」

珠烏「やだいやだい!私はセトくんが帰ってくるまでの間に幻想郷を掌握するんだい!」

ひかり子「戻ってきませんよ…!貴方はあの人に騙されているだけです!」

珠烏「な、なんだってぇー!ど、どこからどこまでが嘘だっていうのさ!」

ひかり子「瀬戸大将が地面から生えて来るってところからですよ!」

珠烏「なぁーッ!?で、でも確かに私の瀬戸物千年王国はここに…

 あっみんなにヒビが入って粉々に!」

ひかり子「もう夢から覚める時なんですよ…!現実を見て!元の珠烏ちゃんに戻って!」

珠烏「わあぁ~!私の王国がぁー!」


◇

乱々「ということで、泡沫の夢となったと」

ひかり子「やっと言えた…ちかれた…」

紫鸞「ふむふむ。これって夢じゃんっと気づいた途端、世界が崩壊し夢から覚めるというのはよくあることぞい」

ちい「そこで踏みとどまると明晰夢っていう全能ムーヴが出来る空間に居座れるんでちよねー」

ひかり子「ひどい悪夢だった…」

乱々「ヒッヒッヒ、これも夢だったらよかったのにねえ」

ちい「ねー」

ひかり子「いや、夢オチとかそんな雑なオチいりません…」

紫鸞「あの子にとっては夢オチだったらどんなに良かったことか、

 そう夢を馳せるのも悪くないぞい」

ひかり子「もう夢はこりごりだ~!!!」


◇END◇



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