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月鏡殿せっちゃんルート


□1めん

瀬津理「霊夢さんのマネをして、異変解決ごっこに乗り出しましたが…

 これ、結構楽しいですね―」


??「あはは~おもしろ~い」


パステル「ね~え、あなたも遊びましょ~」


瀬津理「むむっ!第一村人発見です、いえ重要参考人かな!?」


パステル「ん~シャボン玉であそぼ~よ~」


瀬津理「私には仕事がありますので…

 弾幕ごっこという仕事がね。

 ふふっ今のちょっとかっこよかったかも!」


パステル「じゃあ、シャボン弾幕ごっこだね~!負けないんだから~!」


◇

瀬津理「あははーおもしろーい!えいえいっ、あれ?

 なーんだもう死んじゃったんですか…

 ま、いっか。妖精(穢れの塊)ですからね」



□2めん


瀬津理「そういえば…

 自分と同じ顔3人に合うと死んじゃうらしいですよね」


??「はあ…」


霞「それ、水面を眺めて言うことでしょうか」


瀬津理「三面鏡ってあるでしょう?

 それを覗いたら一発アウトなんじゃないかなーと」


霞「いや、違うんじゃないかな…。それに、

 この一帯はどうみても水鏡ではありません。

 霞がかかっているでしょう?」


瀬津理「もしかしてこの霞も異変の仕業…!これはいけませんね!」


霞「いやいや、これは私が好きでやってることででして…」


瀬津理「むむ!異変を起こす悪い妖怪さんでしたか!

 大人しく退治されてくださいね!」


霞「神様ってやつはどいつもこいつも!」


◇


霞「ああもう、放って置いてくださいよ!

 世界最後の日ぐらい静かに暮らしたいのに…」


瀬津理「最後の日ぐらい、いつもと違うことをやってみようかなーと」


霞「ほんと、神様の気まぐれって迷惑…」


瀬津理「んー初めて鏡を見てみましたけど私って可愛いですよね。

 や、美人系…いやいや、まだ可愛い系で通せる!」


霞「はいはい、世界で一番美しいですよ―」


瀬津理「ちょっと良いところなので黙っていてくれます?目にまつげが…」


霞「こんな世界は滅んでしまえ!」



□3めん


瀬津理「さっきの狛犬…面白いですねー!

 特に獅子じゃなくて…なんだっけあの動物さん」


??「がおー!」


ヘル「たーべちゃうぞ―!というか食べる、喰う、

 おまえうまそうだしもう食ったようなもんだ!」


瀬津理「今どき珍しいですよね、人を食べる妖怪」


ヘル「何ぃー!私はなあ、すごいんだぞ!

 モグラなんかじゃない、元はなあ、太陽のなあ!」


瀬津理「ご老人の長話を聞き流す時って、

 適当に相槌をするのがルールでしたね」


ヘル「わしゃお腹が減ったよばあさん、飯はまだか」


瀬津理「おじいさん、昨日の朝食べたでしょう」


ヘル「ああ、お腹が減った、減ったよう!

 食べても食べても満たされない、せめてお前は腹の足しになれ!」


◇


ヘル「げろげろろー」


瀬津理「食べた側から吐いちゃ意味がないでしょう。

 胃に穴も開いているみたいですし…」


ヘル「ああ、苦しいよお。

 この間の土砂崩れで農作物が全部パアになってからというもの、

 私はずっとご飯を探してた…

 ……月鏡殿の飯は美味かった。なのに、なのに…オエッ」


瀬津理「なんだか可哀想。

 そうだ、お口に霊夢さんの御札でも貼って、

 ストレスも食べ物も全部出てこないようにしてあげましょう」


ヘル「まって、胃の穴も直してからあーーーーーーっ」


瀬津理「んん、茶壺に底がなかったですね…

 まあいいや茶葉と水を胃でブレンドして水出しのお茶にしてください」


ヘル「うごーーーーー」




□4めん


??「あら…お客様ですか」


瀬津理「こんにちはー」


??「当主としておもてなしをしなくてはいけませんね!」


◇


瀬津理「あの人が今回の異変の犯人でしょうか…」


◇


瀬津理「楽しかった鬼ごっこももう終わりです。観念してくださいね」


??「元々この比良坂は一本道でございます。

 貴方はただ誘われただけ。」


瀬津理「比良坂…何でしたっけそれ、知ってます。

 ちょっと待ってくださいね、記録を検索しますから…」


??「ではその間にこちらはおもてなしの準備をしておりますわ。

 その間気が紛れるように踊り子の舞なんていかがです?

 おいで、迦具羅」


迦具羅「はい、お姉さま。

 この太陽神の匂いがする女を追い払えばいいのですね」


??「もてなすのよ、傷つけてはダメ。

 私は向こうに行ってますから、後はよろしくね」


瀬津理「比良坂…比良坂…黄泉比良坂のことでしょうか…

 でも幻想郷に黄泉があるなんて知らなーい。きっと違いますね」


迦具羅「ここは黄泉だよ。今は月鏡殿って名前だけどさ」


瀬津理「うっそだー、絶対違いますよう。

 黄泉ってもっと怖い奥様がいらっしゃるところですから」


迦具羅「お母さまのこと?お母さまは親父以外には優しいけど…」


瀬津理「やだー本物じゃないですか。

 私も黄泉に縁がないとは言えませんが…いえ後付ですけど…

 うーん神社に帰りたーい霊夢さんに押し付けたーい」


迦具羅「悪縁ここに極まれりってね。

 それに、お姉さまの邪魔をしにきたやつを帰すわけ無いでしょ。

 さあ君の清流のような心も、私の幻想の炎で惑わしてあげる!」


◇


迦具羅「な、なんで勝てないのー!」


瀬津理「悪役が主人公に勝てる道理なんてありません!」


迦具羅「ひどいルールだわ。

 生まれついての負け犬は一生日向者になれないのね」


瀬津理「誰だって日向に這い上がろうとすれば出来ますよ、きっと。

 私だってそうです。勉強中ですけどね」


迦具羅「…でも私は姉さんを裏切れない。姉さんは黄泉から出られない。

 だからせめて私だけでも味方しなくちゃ…」


瀬津理「そうそう、あなたのお姉さんって一体何者なんです?

 お母さんなら多分知ってるんですけど…」


迦具羅「お姉さまはこの黄泉そのもの。

 お母さまは元の国に帰ろうと黄泉の主に相談してたでしょ。

 それがお姉さまとお義父さま。

 これでいい?」


瀬津理「うわー歴史から消された真実ってやつですね!

 そういうの大嫌いです!」


迦具羅「この奥に進めばその理由もわかるよ。

 お姉さまが待ってるわ、あなたをもてなすためにね」



□5めん


ヘル「ヘル様ふっかーつ!胃の空白を埋める足しになれー!」


瀬津理「歴史から消された真実って、これ?」


◇


瀬津理「おやーこれは泉…むむ!これも知ってます。

 記録を調べますね…」


??「これは俗に言う不老不死の泉」


こよみ「変若水。わかりやすく言うと黄泉」


瀬津理「過去ログを…えっ月夜見様関係の方でしたか」


こよみ「関係なんてありません。私はこの穢れた星に取り残された者。

 穢れを嫌って、あの方々は月に移住したでしょう?

 でも、黄泉は穢れの国でありますから…」


瀬津理「なんだー私と同じじゃないですかー

 なんだかお友達が出来たみたいで嬉しいです」


こよみ「私はあなたとお友達ではなくてよ。

 あなたと私は祓いと穢れの対存在。決して交わらぬ平行線。

 …の、割にはあなた随分と穢れてらっしゃるのねぇ」


瀬津理「実は、穢れないのを止めたのです。すごいでしょー?

 だから無敵です、陰陽が交わり最強です。あとかっこいい」


こよみ「少しの穢れもこの国では致命傷。私の指先一つで殺せてしまう。

 お話になりませんわ、お友達ごっこがしたいなら

 どうぞお帰りくださいませ」


瀬津理「ああっと忘れてました。太陽を返してもらうんでした。

 弾幕ごっこでケリをつけましょう、お友達ごっこはその後で」


こよみ「…天球を覆う穢れの雲は、そもそも黄泉を塞ぐ岩が取り払われたから。

 この国の穢れが吹き出しただけですから…まあ、私を倒せば止まりますね。

 じゃあケリを付けましょうか」


瀬津理「嬉しいです、やはり私達って言葉でわかり会えるお友達ですよ」


こよみ「くだらない。これは私の恩寵にございます。

 私に三度も無礼を働く物が、死んでも死ねると思うなよ!」



◇


こよみ「やってらんないわーもう」


瀬津理「私の勝ちでーす!

 ふふ、お話していてよくわかりましたけど。

 貴方って本当はとっても優しい子なんですね」


こよみ「…本気を出したらあんたなんかジャンクヤード送りよ」


瀬津理「貴方にはそうしない理由がある。貴方自身のためなら私を壊せるのもきっと本当。

 …そうはしない理由がこの先にはある。ふふ、いい子いい子」


こよみ「ぐぬぬ、馬鹿にされているとしか思えませんわ」


瀬津理「負けたらギャグ要員って理知らないんですか?」


こよみ「……洒落に出来るならどんなに良かったことか。

 太陽を取り戻したいのならこの先に進みなさい。

 貴方の求めるものはそこにある」


瀬津理「それじゃいってきまーす!


 あ、忘れてました。穢れ、止めといてくださいねー!」


こよみ「振り返るなという理を知らないんですか?」






□


瀬津理「おっと、珍しい狛犬さん達ですね。

 でも構っている暇はないのでどいてくださいねー」


◇


瀬津理「わー地底に太陽だなんて、異変の記録を読んだ以来ですね。

 あの時は旧灼熱地獄でしたが、今回は黄泉ですか…


 となるとこれは…」


??「そっか、君は天照ちゃんと縁があるんだねー」


陽子「こんにちは、おねーさん。神様界の期待の新星だよ~」


瀬津理「こんにちはー。

 なるほど、私もあのお話とは縁がありますけれど、それを採用したんですね」


陽子「そうそう。姉妹説をフックにして、新しい太陽として生まれることにしたの。

 丁度いい世界滅亡説もあったから、どうせなら新世界の神さまになっちゃおうかな」


瀬津理「異変の動機(ホワイダニット)っていうやつですね!

 なるほど~だいぶ悪い子ちゃんなんですね、貴方」


陽子「ほんとは生まれたくなんてなかったんだけど…

 なーんでこんな出来損ないに産み落とすかなぁ」


瀬津理「あらあら、とっても悪い子ちゃんですね。

 じゃあそのまま産まれないでいただけますか?」


陽子「…でも、こんな出来損ないでもみんな愛してくれたんだ。

 だから、私は受け取った優しさを、次はみんなに返すのよ」


瀬津理「貴方の新世界に"みんな"を引き継げるものですか

 その世界滅亡説、人類は廃棄処分されましてよ」


陽子「できるとも。現行人類には余分なパーツが多すぎる。

 だから足を切って手を切って、目を焼いて身体を溶かして作り変えてあげる。

 私と全く同じ姿になれば、みんながみんなに優しくなれるでしょ?」


瀬津理「そんなの嫌です。私は足があったほうがいいもん」


陽子「足なんてなくたっていいもん」


瀬津理「人は不完全だからこそ、他者を要し愛し合う。

 でもみんなが同じ欠け方でどうして愛せましょう?

 いろんな形、色んな色、いろんな人が居てこその愛ですもの」


陽子「愛されているからそんなことが言えるのよ。

 愛されなかった子のことを、君は本当に考えたことがあるの?


 ……だから、君が一番嫌がることをしてあげよう。


 君が人を愛する必要のない世界を作ってあげよう。

 人が君を愛する必要のない世界を作ってあげよう。

 さあ、世界崩壊まであと僅か…

 この私が第六の太陽となり、地上に愛を降り注ぐのよ!」




□



ヘカーティア「来ちゃったわ♡」


瀬津理「誰?」


◇


瀬津理「また太陽が奪われてしまうなんて…

 困ったなぁ。困ったなぁ」


??「ご注文は太陽かな?」


??「今なら在庫処分一括セール中ですわ」


瀬津理「いえ一個だけで良いですし、買い換えるつもりもありません」


カトリ「ねえ我が姉妹、この人あんまりチョロくなさそうだよ」


ククリ「こらマイシスター、それは本人の前で言うことではありません」


瀬津理「馬鹿にしてます?

 あまり馬鹿にすると……怒っちゃいますよ!」


カトリ「ふふ、かーわいい。ねえ我が姉妹。この子気に入ったわ。

 この子は特別よ。丁重に饗してね」


ククリ「貴方は幸福です。この世で最も情熱的に人を愛したマイシスターの

 至高の愛を受け取れる」


瀬津理「黒曜の愛なんて要りません。私、太陽のほうが好きだもん。

 せいぜい妥協して北斗七星」


カトリ「我は一(はじまり)の太陽、天地を統べる王。お前たちを生かすもの。

 肩書は君の想い人にも引けを取らない。君のハートをゲットだぜ」


ククリ「ちなみに、私も太陽ですので好みじゃなければ私でも?」


瀬津理「この人達、美人局にひっかかるほどチョロそう。

 とにかく、あなた達の愛は受け取れません。

 だって私の形を保てなくなりそうだもの。そんなの愛じゃなくて暴力です」


カトリ「形に拘るとは随分と即物的ねえ。

 どんな形でも私は私。名前が変わろうと私は私。

 片足が無い程度で私が揺らぐはずもない。

 故に、心臓が無い程度でどうして君の存在が揺らぐのか?」


ククリ「生きたまま皮を剥ぐほうが好みでしたら、

 私、そういうツテを知ってますのでご心配なく」


瀬津理「だから要らないって言ってるでしょう!私は今の形のままでいいんです!

 これから変わるかもしれませんがそれはそれ、

 けれど誰かから一方的に与えられるのはもう御免です!」


カトリ「あらら、振られちゃったわ我が姉妹。

 けれど、私の愛を知らずとも。いずれこの世は愛に満たされる」


ククリ「第六の太陽は全ての形を剥奪する。その灯火こそ最後の救い、我らの救い。

 ――欠けたる人よ、もはや恐れることはない」


カトリ・ククリ『次の霊長類(メインプレイヤー)はイカだ!』


◇


ククリ「くう、神の力さえ取り戻せていればこんな物に…」


カトリ「いやー強い強い、現行人類も捨てたもんじゃないね」


瀬津理「物でも人でもなーいーでーすー。私は私、

 神様をやめた織神瀬津理、人間見習いです」


ククリ「自分から神をやめた者に負けたのか、私は…」


カトリ「人間見習いに負けたのよ、私達。…ああますます気に入っちゃう」


瀬津理「ああもう、誰か親御さんはいらっしゃらないんですかー!?」


陽子「呼ばれて飛び出て…うちの狛犬が迷惑かけちゃったみたいで―」


瀬津理「ええ!?赤子が保護者なんですか?」


ククリ「何を言う、陽子様は君の国ではかなりの古株でしょう」


カトリ「最近生まれ直しただけで君の国より先輩なのよ」


陽子「それに、君だって似たものでしょ?」


瀬津理「なにおう、私だってぴっちぴちの赤ちゃんですぅー。

 ねえ保護者なら責任とって元の太陽戻してくださいよ。困ります。ご近所トラブルです」


陽子「いいよ。私、別に新しい太陽になるつもりなんてないからね。

 その代わりこの子達のこと、許してくれないかな?シングルマザーさん」


ククリ「えっ」


カトリ「えっ」


瀬津理「えっ?」


陽子「にはは。君はあんなに愛されているのに気づかなかったのね。

 やっぱり君は愛されなかった子の事が絶対わからないのよ。

 でも、貴方という在り方も私は好ましいと思うわ。

 そういう愛の在り方も、君が好きないろんな愛、よね」


瀬津理「わ、私ぴちぴちの…赤ちゃんだからわかんない…!」




□



綾子「…全く君は、そうやっていつも厄介事に巻き込まれる。

 まあ私も人のことは言えないね。

 君が死んでしまっては元も子もない。

 死に抗い生き抜く力(ストレスゲージ)を与えてやろう!」


◇



瀬津理「霊夢さんのマネをしての異変解決ごっこ…

 うふふ、たーのしー!」


??「不愉快ね」


パステル「貴方は私と遊んでくれるのかしら。

 それとも、また気にもとめず見捨てるの?」


瀬津理「第一重要参考人発見かな?

 残念ながら、遊べません。お仕事ですからね」


パステル「異変解決という仕事でしょ。なら弾幕ごっこがセオリーよ

 それとも、ルール無用の格闘がお好み?

 私、骨がないからそっちはできないの」


瀬津理「私も足がないので格闘はちょっと。

 それじゃやりますか、弾幕ごっこ。

 いろんな形、いろんな色。弾幕って愛を感じて大好きです」


パステル「ええ、私も好きなのよ。

 鈍色の世界を彩る極彩色(だんまく)が…私に与えられた愛だもの!」



◇


瀬津理「ああ、とても満足です。好きですよこういうの」


パステル「私は不満だわ。もう二度とこの夢を見ることができないもの」


瀬津理「どうして?外でもまた遊びましょう。

 その時は仕事ではなくお友達として」


パステル「私は綺麗な世界のただの瑕疵。

 私なんか、すぐにかき消えて無くなってしまうわ。そういうものなのよ」


瀬津理「子供が夢を見なくてどうするんですか。

 子供は夢を見るのが仕事です。

 さあ手をつないで、外に出ましょう。

 私をこうして連れ出してくれた人が居たように、

 次は私が貴方を連れ出す番。


 大丈夫、淡色だって世界を彩る一つの形(あい)ですよ」




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