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デッサン経験はデジタルイラストを描くうえで必要か?その2〈観察と研究の仕方とそれを実際に形にするまで〉

前回の講座でお話させていただいた色のバランスのとりかたで大まかな遠近感を出すことが出来ました。

これだけで済むすっきりとした絵だと問題ないのですが、リアルな絵を描こうとするときはそれだけだとやはり足りません。


当たり前なのですが、1つ1つのモチーフはそれぞれ特徴があります。

デッサンでよくモチーフになる石膏像は白くて、ツルツルとまではいかなくても滑らかな質感です。

木材は種類によって違いますが、石膏と比べると暗めでザラザラした質感をしています。


デッサンでは一枚描くのにとても長い時間をかけます。一つ一つのモチーフを観察し、場合によってはそれぞれのモチーフのかかわりや、遠くの背景も気にかけます。

このようにいろいろなモチーフを色々な状況で観察し、絵を描き、経験値を得るのでデッサンをすると上達すると思われます。


ではデジタルではその経験が得られないのかというとそんなことはありません。

大事なのはモチーフをしっかりと観察し、なぜそのようにみえるのかを研究する姿勢です。


例えば金属を描くときにどのようなことを意識して描けばいいかを考えてみます。


金属のモチーフを描くという課題があって、自分たちでそのモチーフを探してくるとします。

金属といっても鉄、銅、アルミ、合金の真鍮やステンレス、場合によっては金や銀などたくさんあります。

あまり深く考えずに金属を描くとき、絵に特徴を出すとしたら、ツルツルしていて、コントラストが強くて、映り込みが鮮明で、自分の顔を描くか悩む…そんなようなイメージをもつのではないかと思います。そして、キラリと光るハイライト。

実際にモチーフを並べてみて観察すると、スプーンやフォーク、鍋、フライパン、アルミホイル…映り込みが鮮明で自分の顔がしっかりと見えるものばかりではないです。

それは金属は用途やデザインによっていろいろな塗装や加工がされているからです。

ステンレスではマットな加工だと表面に無数の線が入っているヘアライン加工などが有名です。(下の画像)

この加工は傷がついてもそれが目立ちにくくなるという利点から、人が多く活動する場所で使われているそうです。キッチンパネルや窓、エスカレーターなど探してみるとたくさんあります。逆に映り込みが鮮明に見えるツルツルした加工は天井など人が触れにくい場所に多くあるようです。

デッサンからなぜこの話になったかというと、デッサンは普段あまり気にしないところまで観察して調べるまで発展していくきっかけになりえるからです。


金属のモチーフを描くということの関してまとめます。


ただただ目の前にあるものをその通りに描く。それ自体は間違いではもちろんありませんが、なぜそういう特徴をもっているのか、どうして金属が金属のように見えるのかを

研究するまでが一括りで大事だと思います。金属=ツルツルしていてよく周りの景色が映り込むではなく、ツルツルする加工をされた金属にものに景色がよく映り込んでいるのです。


そして、もう一つ大事なのが「普通は~」という一般的にこうという社会に浸透している普遍性です。床の表面が全て全反射するほどツルツルだとあまりよくないのは当然だと思います。

普通はこういう用途では~な加工がしてあるとか、普通はこういう色はこういう場所では使わない、普通はこういう構造にはしないなど、その観察する姿勢や視点はデッサンをしていると自然と身についてくるものだと思います。


ただ、その深いところまで観察して研究する姿勢はデジタルでも得られると思います。ただ写真をインターネットで探して、その通りにそれとなく描くだけではなく、街に出かけてその場所に訪れたりして、どの角度にあるものがどのように映り込むのか、写真で見えない裏の部分はどうなっているのか…その経験が「わからない」「しっかり見たことがない」という不安を払拭して、ペンの進みを早くして、気持ちよく絵を描けるようになるかもしれません。


では実際に絵を描くときどういう考えをもって描き進めるのか。

風鈴のようなガラスはツルツルしていてまわりの風景が映り込みます。

ガラスはほぼほぼ透明なので奥の風景も透けて見えます。ただし、丸みがあるので奥の風景が歪んでみえます。デッサンでは丸みがあるものへの映り込みがどのようになるのか、奥の風景がどのように歪むのか、どの程度映り込がやハイライトが目立つのかなど、じっくりとモチーフを観察します。


実際にモチーフを観察してそのままをただ描くのではなく、この明るい部分はライトの映り込み、これは太陽、手前の柱、ほんのり明るいのは奥の壁が透けているから…

など理解して描くことを繰り返すことができれば、初めて見た一枚の写真から、過去に観察して経験した事柄からスッと何が映り込みで何が透けて見える奥の風景なのか、

どう歪んで映り込むのかなど瞬時に理解できるようになります。


観察すること、研究することは資料を読み解く力になるだけではなく、自信をつけ、無駄な迷いを減らして時短につながります。金属の筒を描くデッサンが学校でありましたが、映り込みがどのように映り込むのか、回り込んでいく端の方ほど映り込みが細く見えていくなど、実体験で感じたことはやはり気持ちよく頭に入ってきます。デッサンをするしないは別として、実物をいろいろな角度から目で見ることはとても重要です。

デッサンはタッチの入れ方や、こすり方など、描くためのスキルをのばす意味でも重要だとは思いますが、頭の中を絵を描くためにカスタマイズする軌道をつくるような役割も持っていると思います。


デジタルでは研究するのは難しくはありませんが、観察するというのがなかなか難しいです。思い腰が上がりにくいですよね(笑)

描きたいモチーフを実際に観察するのはもちろん一番良いですが、難しい場合は動画で探すのもオススメです。動画は周りの環境もわかりやすく、角度も変わるので得られる情報がとても多くなります。

絵を描く際はこれは「映り込み」、これは「あのライトが当たって明るくなった部分」というように、描いているものを明確に意識しながら描き進めるのがよい効果を得られると思います。

しっかり分析できると、たとえ描き方に迷っても、何に迷っているのかがわかります。それがわかるとそれについて集中的に調べれば、得られる物は必ずあります。


今回はデッサンをするうえでの姿勢についてまとめてみました。とはいえ、私自身がデッサンを何年も続けていたわけではないので、真理というわけではないと思いますが、観察して研究するという流れに関してはまず間違いなく大事なことだと思います。見ることと疑問に持つこと、調べて理解すること。何を学んだかはっきりと頭に浮かべられること。

これらがセットになるととても有意義だと思います。


1つの景色から読み取れる情報が想像している以上に多いと実感できた瞬間が成長しているということなのかもしれません。


またデッサン関係でお話できる時がありましたら、その際はよろしくお願いします…!

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