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あらすじ:B級冒険者の二人組に父を侮辱され、発言を撤回させるため勝負を持ちかけたイドラだったが、冒険者に有利な条件での戦いに敗北し、負けたらなんでも言うことを聞くという約束を果たすことになるのだった。                                                                                                                                                             「すまねえ、イドラ! 俺がもっと頑張っていれば!」 「……あなたのせいじゃないわよ。頭に血が昇って、考えなしに喧嘩を勝ってしまった私のミスよ」  アーヴォルン家の屋敷、イドラの自室にて。  申し訳なさに頭を下げるレッドに、イドラは背中を向けたまま表情を見せることなく返した。  あくまでこの戦いはイドラが自身の誇りのために受けたもの。どのような結果になろうとも、その責任は自分一人にある。 「でも、負けたらイドラが酷い目に合うって……!」  レッドは必死に訴えたが、少女の決意は変わらない。  それでも彼を心配させまいと、イドラは笑顔を作って振り返った。 「安心しなさいよ。私があんな奴らの好きにされるわけないでしょ。逆にボコボコにして帰ってきてあげるっての」  その言葉は強がりでしかなかったが、名家に生まれた者として、他人に弱音を吐く姿を見せるわけにはいかなかった。  イドラはレッドに小さく手を振り、すれ違うようにして部屋を出ていく。  その背中に、寂しげな少年の視線を感じながらも、イドラは振り返らなかった。  とある宿屋の一室。古い材木の音を軋ませ、ドアの開けたイドラを、長身の男が迎え入れた。 「おーおー、ちゃんと逃げずにやってきたんだな、お嬢様。へへっ、それともこれからされることを期待して、身体が火照って待ちきれなくなっちまったのか?」  下品な笑い声が、神経を逆撫でする。  ザッツという名の長身の男は、のこのことやってきた獲物を前に舌なめずりし、その情欲をそそる身体を見廻した。 「おぉ、いいねぇ。やっぱエロい身体してやがる。特にこのデカ乳がたまんねえな。しかもこんなスケベ衣装着やがって。襲ってくださいって言ってるもんじゃねえか」 (こいつ……好き放題言ってくれて……)  不躾な言葉と視線に晒され、イドラは怒りを噛み殺し、こめかみに血管を浮かばせる。 「言っておくけど、貴族である私に手を出したらどうなるかは分かっているのよね?」  鋭く言い放つイドラに、しかし冒険者の男は余裕の表情を崩すことは無かった。 「何言ってやがる。お前みたいな没落貴族の小娘一人、怖くもなんともねえんだよ」 「なんですってっ……!」  以前までの権力を失ったとはいえ、貴族の名を穢す発言は、イドラのプライドを傷つけるには十分だった。  イドラは手に持った杖に魔力を集中させる。  1度はレッドに止められた戦いだが、今ならば止める者はいない。 「だったら、見せてやろうじゃない……! その没落貴族の力ってのを!」  不快なニヤケ面に手痛い一撃をぶち込んでやろうと、イドラは杖を翳そうとした。  しかし――。 「おおっと、そうはいかねえぜ?」 「なっ……!?」  魔法を放つ寸前、突如イドラは身体を後ろから羽交い締めにされた。  男性の腕によって、身動きが封じられる。それによって集中が途切れ、放出寸前の魔力が霧散する。 「警戒が足りねえぜお嬢様? 相手は一人じゃないってこと忘れてたのか?」  イドラを拘束する別の男が、背後から耳元で囁いてくる。  確かに戦った冒険者は二人組。眼の前の男とは別に、もう一人細身の男がいたのだ。片方は隠れ、イドラが隙を見せるのを待っていたのだろう。 「くそっ……触るんじゃ、ないわよっ!」  腕を振りほどこうとイドラはもがく。  相手は男とはいえ、大した実力もない冒険者だ。身動きさえ自由ならば……。  が、その考えも見透かしたかのように、背後の男はイドラの口元に布を押し当てた。 「んむぅ……っ!?」  一瞬呼吸が阻害される。そして、それによって息を吸おうとしたのが不味かった。  口に押し当てられた布からは何か粉のようなモノが漂い、それをイドラは咄嗟に吸い込んでしまった。  鼻腔を刺激する異臭――しかし、問題はそこではない。 (な、なに……!?)  粉を吸った途端、身体が弛緩し、手足から力が抜ける。 「ン、ンン……ッ!」  何をしたの、と視線で訴えるイドラへ、男が勝ち誇ったように答えた。 「なぁに、簡単な痺れ薬さ。対策してるって言ったろ? 意識が飛んだりはしねえが、暫くはまともに動けねえはずだぜ」 (痺れ薬……! くそ、ぬかった……!)  油断を突かれ、薬を盛られた。イドラは完全に罠に嵌ったことを理解し、悔しさに渋面を作った。  後悔する間にも身体からは力が抜けていき、抵抗はおろか、立っていることすらも難しくなる。 「へっへ……。それじゃあ、ベッドまで行こうか、イドラちゃんよ」 「……っ」  身体を掴んだ男が、強引にイドラを引っ張っていく。  そして、そのままベッドへと投げ出され、ばふっ、と質素な布団に身体が沈む。 「この、ゲス共……! 薬を使ってまで女を襲うなんて、恥ずかしくないの!」  この状況でもイドラは怯むことなく、意志の強い眉を釣り上げて侮蔑の言葉を投げかけた。 「おいおい、俺たちは約束通り、戦利品としてお前の身体を自由にさせて貰おうってだけだぜ? なのにお前が逆らうから、仕方なく抵抗出来ないようにしてるんだろうが」 「そうだぜぇ? 貴族のお嬢様なら、一度交わした約束は守らねえとなぁ」 「くっ……!」  彼らの言う通り勝負に負けた以上、本来ならば何をされても文句は言えない。それが、イドラ自身が出した条件だ。 「それで、私にいやらしいことをしようってわけ? 人として最低よ、あなた達」 「生意気だねえオイ。ま、それぐらい活きが良い方が楽しめるってもんだけどな」 「違いねえ。生意気な癖に顔は良くて乳はデカいなんて、男を楽しませるためにいるようなモンだ」  ベッドに身体を倒すイドラに、男二人がにじり寄る。  寝転んだ体勢で大きく主張する突き出た巨乳を視姦され、イドラはカァ……と頬を赤く染めた。 「その痺れた体じゃマトモな抵抗は出来ないだろうが、あんまり暴れようとするってんなら、もっと痛めつけねえといけなくなるぜ? どうする? 約束通り身体を差し出すか、それとも無駄な抵抗をして、その綺麗な身体に傷を付けるか?」  下卑た表情で選択を迫る男に、イドラは悔しげに歯噛みをして、最悪を避ける選択をするしかなかった。 「……分かった、わよ。一晩だけ……好きにしていいから……」 「おっほ、そうこなきゃ~」  細身の男が歓声を上げ、長身の男も満足そうに頷く。 「でも、好きにしていいのは胸だけよ! それ以上のことは、許さないんだから!」 「はぁ? そんな条件出せる立場だと思ってんのか?」 「はっ、まぁいいじゃねえか。好きにしてもいいって言うんだから、取り敢えずはそれで。どうせ、すぐに我慢出来なくなるさ」  こちらを舐め腐った態度の男たちに、イドラは益々怒りを燃やす。 (調子に乗って……! 絶対に思い通りになんてならないんだから……!)  四肢は痺れて力が入らずとも、瞳には未だ意思の強さが宿っている。  しかしそのプライドの高さをこそ屈辱的にへし折ってやろうと、男たちはほくそ笑むのだった。

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